京都幼稚園について 基本的理念
- 幼稚園について
人間にとって大切な
和合衆への最初の入口
親の庇護をはなれて、はじめて経験する社会生活が幼稚園であります。京都幼稚園は京都女子学園の中で、建学の精神を最も柔軟な心で、自然に身につけることのできる、人間にとって大切な和合衆への最初の入口であります。
『幼稚園教育要領』には、幼児教育は豊かな環境の中で、幼児の自発的遊びを通しての指導が大切であることが掲げられております。京都幼稚園はこの基本的趣旨にそって、幼児の健康・人間関係・意思伝達のための言語や表現等々が、幼児期の発達段階において無理なくめざめが得られるよう、年少・年中・年長それぞれカリキュラムに編成し、心身の調和的発達に資するよう心がけており、本園におきましては、所謂、早期教育は実施しておりません。
今日、心の教育の欠如が指摘され、文部科学省は「幼児期からの心の教育」の必要性を指摘しております。しかし、幼児に対し、心の問題は言葉で話したから育つものではありませんので、本園では日々始業時の礼拝や仏教讃歌の歌誦を通じ、自然のうちに帰依合掌の心を養い、通常の保育はもとより、社会見学・運動会・リズム発表等々、園内外のさまざまな行事の中で、自律する心や他と協調する心の大切さを育てるよう心がけております。
私たち人間は、皆自己中心の「とらわれ」の心をもっております。人間は誰しも、自己の力で自分が存在すると思い、自分のいのちがあると信じておりますが、親鸞聖人は「自然法爾[じねんほうに]」の理[ことわり]の中で、私たち生きとし生けるものすべては、我にあらざる不可思議<我とは称し得ないもののはたらき>によって、与えられたいのちであること、そのいのちの上に、かけがえのないこの体も、与えられたものであることをお示し下さっております。
このめざめに立って、私のいのちが尊くかけがえのないものであるならば、一切衆生<生きとし生けるもの>のいのちも尊くかけがえのないものであること。私の人生が尊くかけがえのないものであるならば、他の人の人生も尊くかけがえのないものであることに思いをいたし、互に人格を尊重しあい、和合の世界を形成しようという心を養うのが、京都幼稚園における幼児教育に対する基本的理念であります。
京都幼稚園長(京都女子学園理事長・学園長)
芝原 玄記